|
|
インタビュー最終回を飾るのは、作家の宮部みゆきさんです。 数多くのゲームに触れておられる宮部さんに「メトロイド」の魅力をお聞きしました。 |
|
|
|
|
■宮部さんは、ゲームで遊び始めてすぐに『メトロイド』と出会ったそうですが。
はい。アクションゲームとしては、『スーパーメトロイド』が初めてちゃんとクリアしたゲームだったんですよ。
最初に『マリオコレクション』をやったんですけど、やっぱり私の腕じゃ反射神経がついていかなくて。
当時小学生だった、うちの姪や、そのお友だちとかのほうがよっぽど上手いんです。
それで、彼らから、「おばちゃん、アクションゲームは無理だよ」なんて言われて、私も「そうだねー」なんてうなずいてて。
そのあとに『トルネコの大冒険』をプレイして、あれは、まあ、反射神経はいらなかったのでコツコツコツコツ遊んでたんです。
そんなときに『スーパーメトロイド』のCMを見て「これやりたい!」って強烈に思ってしまって。私にゲームという娯楽を勧めてくれた友だちがいるんですけど、その人も「まだ早い」って言ってて(笑)。
「もうちょっと易しいゲームをいくつかやって慣れてからやったほういい」って。
でも、すごく楽しそうで、かっこよかったから、どうしてもやりたくて買ってきてしまったんです。
案の定、ものすごく苦労したんですけど、コケの一念でとうとうクリアーしてしまって。
クリアーできたときは、すごくうれしかったんですよ。
とくにスペースジャンプですごい苦労して。
でも、できるようになったときの喜びって、すごいじゃないですか!?だからもう、大好きなゲームなんです。
|
|
|
■宮部さんを惹きつける『メトロイド』の魅力ってなんでしょう?
ひとつは、世界観がしっかりしていることですね。
これはもうね、有名なことですが、サムスって女性じゃないですか。
銀河のために戦うバウンティハンター(賞金稼ぎ)なんだけども、女性だっていうのが、当時はそうとう新鮮でしたね。
私は30歳を過ぎてからゲームを始めたんですけど、そういった大人から見ても魅力的な世界でした。
ハリウッドの映画でも、こんなに世界観ちゃんと考えてない映画だってあるよ、っていうぐらいしっかり考えられてて。
それでいて過剰な説明があるわけではない。
そのへんのストイックな感じも魅力ですね。
あとはやっぱり発見とか探していく楽しみですよね。
抜け道を探すときもそうですし、「あ、ここが通れる」とか、「ここでタンクが取れるのか」っていう楽しみがあっていいんですよね。
たとえばお家で、キューブにアドバンスをつないで画面で見てても楽しいと思うんですよ。
お子さんがやってるのを、お母さんが見ててもお父さんが見てても、「ちょっとこっち行ってみない?」とかね、「こっちじゃないの?」とかね。
複数で対戦するようなゲームじゃないんですけど、みんなでいっしょに楽しめる、
そういう魅力のあるゲームだと思うんです。
実際、私も、よく姉といっしょにわいわい言いながら楽しみましたから。
こんなにストイックで、設定もばりばりにSFなんだけど、なぜかそれぞれのプレイヤーの心に残る。
そのへんが、私が『メトロイド』をすごく大好きな理由なんです。
|
|
|
■じゃあ、宮部さんとしては、『メトロイド フュージョン』が出たときはかなり盛り上がった状態で?
それはもう!発売日には、私、自分のホームページに「祝 サムス・アラン再臨!」って4倍角ででかでかと書いたくらいで(笑)。
もう、うれしくてうれしくて、寝床まで持ち込んじゃったりして。
ゲームボーイアドバンスSPって、ほら、フロントライトだから、明かりを大きくしなくても布団の中でできるので。
もうちょっと進んでから寝よう、もうちょっと進んでから寝よう、って思いながら布団の中でやってるうちに、「あー2時だ」とかっていう(笑)。
翌朝起きたら目が真っ赤だったので、これからは布団の中でやるのはやめようって思ってたんですけど。
でも、ある日、風邪をひいてしまって。
たいしたことなかったんですけど、「……風邪引いた(笑)」とかって思って。
大喜びでパジャマに着替えて、また布団の中に持っていったっていうね。
それぐらい楽しく、やってしまいました。
|
|
|
■ゲームキューブの『メトロイド プライム』についてはいかがですか
私はまだ全体の5分の1くらいしか進めていないんですけど、ぜひぜひクリアーしたいと思っていて。
死にながら、迷子になりながら、疲れて寝てしまったりするんですけど(笑)。
でも、その手応えが「やっぱり『メトロイド』なんだなー」って感じてます。
これまでの『メトロイド』は、サムスが動くことによって道が開いていくというタイプだったと思うんですけど、『メトロイド プライム』は、バイザーを切り替えたりして、サムスの側が変わることで道が見えていくっていう、考え方の座標が変わった感じがしてすごく興味深かったです。
難しいですけど、画面はすごくシャープだし、音楽もかっこいいし。
|
|
|
■宮部さんの最新作である
『ブレイブ・ストーリー』についておうかがいしようと思います。この小説は、ファンタジー小説の中にゲームの楽しさや喜びを活かすということが、意図のひとつとしてあったとお聞きしましたが。
ええ、最近出させていただいたんですけど。
ファンタジー系のRPGを、少し念頭に置いて、小説なんだけどゲームみたいに楽しんでもらえればいいなって思ってたんです。
もちろん、ゲームを知らない方には、ふつうの冒険ファンタジーとして読んでもらえれば。
でも、やっぱり、動かして楽しいっていう部分はね、『メトロイド』とか『ゼルダ』には勝てませんから。
また違う方法で、その世界をリアルに立ち上げていくように作っていかないといけない。
その意味では小説でもまだまだ工夫の余地があるな、というふうに今回思ったんですけどね。
|
interview Part1 | interview Part2 | interview Part3 | interview Part4 | interview Part5
|