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それではサウンドの話を。山本さんはこの2作に、どんなカタチで関わったんですか?
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山本 |
『フュージョン』のほうはサウンドディレクターという立場で、メトロイドシリーズから受け継いだ曲作りや効果音作りを行なうためのサウンド現場監督をしました。『プライム』ほうでは、レトロスタッフと情報開発本部のスタッフと共に開発に加わってプライム音楽を担当しました。
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曲作りではどんなことを意識しましたか?
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山本 |
まず、海外のスタッフと仕事をするのが初めてのことで。それに、打ち合わせするにしてもテレビ電話会議でやったわけです。間に通訳の人が入るわけですが、レトロスタッフの曲に対するイメージがなかなか伝わりにくい状態で(笑)。それで客観視点でつくった『プライム』のムービーがあったので、それを観て「アメリカ人が求める新しい『メトロイド』の音楽はこんなんかな?」と思って、曲をつくって、それをレトロのスタッフに聴いてもらったんです。そしたら、「まったくイメージが違う」って言われてですね(笑)。
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田邊 |
あれは大変やったねえ。
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山本 |
それでスタッフが来日して任天堂に来たときに、ファミコン版やスーパーファミコン版など、過去の『メトロイド』の曲をぜんぶCDに入れて、それを1曲ずつレトロのスタッフに聴かせながら彼らの顔色を観察したんですよ(笑)。彼らが音楽に関してどう思ってるか、そういう方法で確かめるしかなかったんですね。それで、『スーパーメトロイド』の曲をかけたら、(指をパチンとならして)「これや!」って(笑)。それに、彼らのお気に入りのテクノのグループがあって、次から次にそのグループの曲を送ってくるようになったんですよ。でも、聴いてみるとほとんどノイズのかたまりなんですね。(テクノっぽいサウンドを口ずさみながら)「チク、チク、チッチッ」って感じで(笑)。
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その感じ、タイトルのところに出てますよね。
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山本 |
そうです。そのような経緯からタイトルやセレクト画面の曲のイメージができあがっていきました。
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田邊 |
山本にはもともと違う曲のイメージがあったと思うんです。でも、そこはレトロの作品ということで、彼らの意志を反映しながらうまくまとめてくれたんですね。
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山本 |
彼らがどんなサウンドを求めているか、彼らの顔色と送られてくるCDがヒントになったわけですけど、彼らがしきりに「ノイズのような」と言ってたのは、きっと主観視点のゲームになったために、1歩踏み込んだ世界に入って、そこでは音楽がなくなっちゃったんじゃないかと。それで「空気のような環境にとけ込む音楽」って言ってるんじゃないかなと理解したんです。
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